AutoCADから互換CADへの移行で「よくあるトラブル」と失敗しないための解決策
「AutoCADのサブスク費用を抑えるために互換CADを導入したいけれど、現場の設計業務に支障が出ないか不安だ……」
企業のCAD担当者様や設計リーダー様から、このようなご相談を非常によくいただきます。確かに、どれだけコストが下がっても、図面が文字化けしたり、操作に迷って作業スピードが落ちてしまっては本末転倒です。
しかし、よくあるトラブルの原因と対策をあらかじめ知っておけば、移行の失敗はほぼ100%防げます。 本記事では、AutoCADから互換CADへ切り替える際に発生しやすい3つの代表的なトラブルと、その具体的な解決策をプロの視点で解説します。
トラブル①:文字化けやフォントのズレが発生する
互換CADでAutoCADのDWGファイルを開いた際、文字が「???」と表示されたり、枠からはみ出したりすることがあります。
【原因】
AutoCAD特有のフォント(「shxフォント」など)や、Windowsのシステムにない特殊なフォントが図面内で使われている場合、互換CAD側で同じフォントが見つからず、代替フォントに置き換わってしまうために起こります。
【失敗しない解決策】
- フォントパスを通す・コピーする: AutoCADがインストールされているPCであれば、AutoCADの「Fonts」フォルダ内にあるSHXファイルを、新しく導入した互換CADの「Fonts」フォルダへコピーすることで、全く同じように表示できるようになります。
- フォント代替設定(マッピング)を活用する: 「このフォントがない場合は、この標準フォントで開く」というルールをCAD側で1度設定しておけば、次回から自動で綺麗に変換されます。
トラブル②:印刷スタイル(CTBファイル)が引き継がれない
「AutoCADで設定していた線種や、色ごとの印刷の太さ(CTB設定)が、互換CADで印刷すると反映されない」というトラブルです。
【原因】
印刷のルールを決めている「印刷スタイルテーブル(.ctbファイル)」が、互換CAD側の指定フォルダに格納されていないことが原因です。互換CAD自体はAutoCADのCTBファイルをそのまま読み込める能力を持っています。
【失敗しない解決策】
- CTBファイルをそのまま移行する: AutoCADで使用していたオリジナルのCTBファイルを書き出し、互換CADの「印刷スタイル」フォルダにコピーするだけで解決します。
- 環境の一括移行ツールの活用: 例えば【IJCAD】や【BricsCAD】などの高性能な互換CADには、AutoCADの環境設定(PC3ファイルやCTBファイルなど)を自動でコンバートして取り込むツールが用意されているため、これを使えばワンクリックで移行が完了します。
トラブル③:現場から「操作感が違って使いにくい」と不満が出る
「コマンドの反応が少し違う」「画面の見た目が変わって、使いたいボタンがどこにあるか分からない」といった、設計者個人の“慣れ”に起因する不満です。
【原因】
いくら互換性が高くても、デフォルトの画面配置(UI)や、一部のマイナーな短縮コマンド(エイリアス)の設定がAutoCADと初期状態で異なっている場合にストレスを感じやすくなります。
【失敗しない解決策】
- 「リボンUI」と「クラシックUI」を切り替える: 互換CADの多くは、現在のAutoCAD風の見た目(リボン)と、昔ながらの見た目(クラシック)をいつでも切り替えられます。設計者が最も慣れている画面に合わせるのが一番です。
- エイリアス(PGPファイル)のインポート: AutoCADで使い込んできたカスタムコマンド設定(acad.pgp)は、互換CADにそのまま読み込ませることができます。これで、キーボード入力の操作感は完全にAutoCADと同じになります。
まとめ:失敗を防ぐ最大のコツは「無料体験版」での事前テスト
今回ご紹介した通り、互換CADへの移行トラブルのほとんどは「設定やファイルをコピーするだけ」で解決できるものばかりです。現在の互換CAD(ARES、BricsCAD、IJCAD、ZWCAD)は非常に成熟しているため、過度な心配は必要ありません。
それでも不安な場合は、本格導入の前に以下のステップを踏むことを強くおすすめします。
- まずは30日間の「無料体験版」を試す
- 実際の過去図面(DWG)を開いて、文字化けや印刷設定を確認する
- 現場の設計者1〜2名に触ってもらい、フィードバックを得る
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